ひとり塾長のための業務マニュアルの作り方|最初に書くべき5業務と古くしない更新の習慣
「自分が倒れたら、この塾は回るのだろうか」。ひとりで塾を切り盛りしている塾長なら、一度はそんな不安がよぎったことがあるのではないでしょうか。業務マニュアルを作ったほうがいいのは分かっている。でも授業と事務で毎日が埋まっていて、まとまった時間が取れない。作り始めても途中で止まってしまい、気づけば半年前のファイルが残っているだけ──。
マニュアル作りが続かないのは、根気がないからではありません。最初から全部を書こうとする、読む人を決めていない、更新するタイミングが決まっていないという3つの原因がほとんどです。この記事では、ひとり塾長が「最初に書くべき5つの業務」に絞ってマニュアルを作り、無理なく更新し続けるための進め方を整理します。
ひとり塾長こそ業務マニュアルが必要な理由
「スタッフがいないから、マニュアルはまだいらない」と考える方も多いのですが、実はひとりで運営している塾ほど、手順が塾長の頭の中にしか存在しない状態になりがちです。マニュアルが役に立つ場面は、大きく分けて3つあります。
| 場面 | マニュアルがないと起きること |
|---|---|
| 塾長が急に休む・遅れる | 代わりの人が教室を開けられない、保護者への連絡が止まる |
| アルバイト講師や家族に一部を任せる | 毎回口頭で説明することになり、任せたほうが時間がかかる |
| 年に数回しかない業務をこなす | 前回どうしたか思い出せず、ゼロから調べ直す |
特に3つ目は見落とされがちです。マニュアルは「他人のため」だけでなく、半年後の自分のための記録でもあります。塾長が休めない状況そのものを見直したい方は、「塾長が休めない塾から抜け出す仕組み化」もあわせてご覧ください。
マニュアル作りが止まる3つの原因と対策
1. 最初から全業務を書こうとする
業務を洗い出すと、大小あわせて数十項目になります。全部を書こうとすると終わりが見えず、途中で手が止まります。対策は、「止まると困る業務」から5つだけ選ぶことです。授業の進め方のように塾長自身の判断が中心になる業務は後回しで構いません。
2. 読む人が決まっていない
「誰が読んでも分かるように」と考えると、文章が長く抽象的になります。「初めて教室に来たアルバイト講師が、この紙だけで作業できるか」を基準に書くと、必要な情報の粒度が自然に決まります。
3. 更新のタイミングがない
作った時点では正しくても、料金や連絡手段が変わればすぐ古くなります。古いマニュアルは「使えない」と判断され、誰も見なくなります。後で説明するように、更新を既存の習慣にくっつけるのが続けるコツです。
最初に書くべき5つの業務
個人塾・小規模塾で「止まると困る」度合いが高く、かつ手順化しやすい業務は次の5つです。
| 業務 | 書いておきたい内容 |
|---|---|
| ① 開校・閉校 | 鍵の場所、照明・空調、施錠確認、最後の生徒の帰宅確認、ゴミ出し |
| ② 入退室・欠席連絡の受付 | 生徒が来たとき・帰るときの確認方法、欠席連絡を受けたときの記録先と振替の扱い |
| ③ 月謝の請求・入金確認 | 請求の締め日、請求データの作り方、入金確認の手順、未納時の初動 |
| ④ 保護者からの問い合わせの一次対応 | その場で答えてよい範囲、塾長に回す内容、折り返しの期限 |
| ⑤ 緊急時の対応 | 生徒の体調不良・けが、保護者と連絡がつかないとき、地震・台風などの判断と連絡先 |
①②⑤は「塾長がいない日に必ず発生する業務」、③④は「塾長しか分からないと困る業務」です。特に③は金額や個人情報が関わるため、手順をはっきりさせておく価値があります。未納が起きたときの段取りは「塾の月謝未納、どう催促する?」で詳しく解説しています。
ポイント:④の問い合わせ対応は、「答えてよいこと」と「答えずに塾長に回すこと」の線引きを書くのが中心です。成績や退塾の相談など判断が必要な内容は、「お預かりして、〇日までに塾長から連絡します」と返す、と決めておくだけで代わりの人の負担がぐっと減ります。
1業務A4・1枚で書く手順
5つの業務は、それぞれA4・1枚に収めるのが目安です。書き方は次の手順で進めると迷いません。
- 実際にやりながらメモする:机に向かって思い出しながら書くより、次にその業務をするときにスマホで手順をメモするほうが漏れが少なくなります。
- 「いつ・何を・どこで・終わりの状態」の4点で整える:たとえば閉校なら「最後の生徒が退室したら/照明・空調・窓・鍵を確認/入口の鍵は○○に戻す/入退室記録で全員の退室が確認できていれば完了」。
- 判断が必要な分岐は「迷ったら」で書く:「保護者のお迎えが20分以上遅れたら、登録の連絡先に電話。つながらなければ塾長へ」のように、迷う場面と行動をセットで書きます。
- 写真を1〜2枚入れる:鍵の場所、ブレーカー、書類棚などは文章より写真のほうが早く伝わります。
- 別の人に読んでもらう:講師や家族に読んでもらい、質問されたところを書き足します。
注意したいのは、パスワードや保護者の連絡先などをマニュアル本文に直接書かないことです。マニュアルは印刷したり共有したりするものなので、「保護者連絡先は生徒管理の画面で確認」のように、置き場所だけを書くようにします。個人情報の扱いの基本は「塾が守るべき生徒の個人情報管理の基本」で整理しています。
なお、授業の進め方や指導の標準化については、業務マニュアルとは分けて考えるのがおすすめです。こちらは「個人塾でもできる講師研修と指導の標準化」で解説しています。
マニュアルを古くしない更新の習慣
マニュアルは作るより更新するほうが難しいものです。新しく時間を確保するのではなく、すでにある習慣に更新をくっつけると続きます。
| タイミング | やること |
|---|---|
| 手順が変わったその日 | 該当ページに1行追記し、変更日を書く(清書は後回しでよい) |
| 月末の請求作業のあと | ③の請求・入金確認ページを読み直し、実際の手順とずれていないか確認 |
| 年度替わり・季節講習の前 | 5業務すべてをざっと読み直し、料金・連絡先の置き場所・時間割の変更を反映 |
| 誰かがマニュアルを使った後 | 「分からなかったところ」を1つだけ聞いて書き足す |
年度替わりなど決まった時期の見直しは、「塾の年間事務カレンダー」に「マニュアル見直し」と1行入れておくと忘れません。
また、マニュアルの置き場所は1か所に決めることが大切です。紙のファイル、パソコン、スマホのメモに分散していると、どれが最新か分からなくなります。印刷版を教室に置く場合も、「元データはここ」と決めておきましょう。
マニュアルに書く量を減らす「仕組み」の考え方
マニュアルを書いていると、「この手順、そもそも人がやる必要があるのだろうか」と気づく場面が出てきます。たとえば次のような業務です。
- 入退室のたびに保護者へ連絡する → 入退室の記録と保護者への通知が自動で行われれば、マニュアルには「生徒が記録しているか確認する」の1行で済む
- 名簿・連絡先・請求情報が別々のファイルにある → 情報が1か所にまとまっていれば、「どのファイルを見るか」の説明が不要になる
- 欠席連絡が電話・LINE・口頭とばらばら → 受付の窓口が1つなら、受けた人による対応の差がなくなる
つまり、マニュアル作りは業務を見直すきっかけでもあります。書くのが大変な業務ほど、手順そのものを減らせないかを考えてみてください。業務全体の見直し方は「個人塾の塾長が今日からできる業務効率化」で紹介しています。
最初の一歩は、今週の閉校時に手順をスマホでメモすることからで十分です。5つの業務が1枚ずつそろえば、「自分がいなくても、ひとまず教室は回る」という安心感が生まれます。
この記事を書いた運営より
私たちは、個人経営・小規模の学習塾向けに、生徒管理・QRコードでの入退室記録・月次請求・保護者へのLINE/メール通知・AIによる学習支援までをひとつにまとめた教育機関向け総合DXプラットフォーム「XedPlex(ゼドプレックス)」を開発・提供しています。初期費用は0円、料金は生徒1名あたり月額300円(税込)から。生徒50名の塾なら月15,000円(税込)です。全国8つの教室で導入されており、導入塾には紹介ホームページの無料作成も行っています。機能の詳細説明はこちら。
XedPlexの詳細を見る